9月13日(金)〜14日(土) 梅里雪山の懐へ―徳欽一泊小旅行

午後1時、中継地の奔子欄(ベンズラン)に到着。普段めったに食べられない例の
魚料理を注文、中国の習慣に従ってこんどはわたしがご馳走する番です。
昨日と同様、まだ中学生くらいの女の子が笑顔できびきびと立ち働いていました。

 「学校はお休みなの?」
 「行ってない…」
 「年はいくつ?」
 「十七です…」

よくよく聞いて見るとこの女の子、小学校も行っていないようです。
思わず「学校に行きたい?」と愚問を発すると、彼女はこれにこっくりと無言で
頷いたのでした。
奔子欄を出てからタシさんに聞いてみました。

 「あの女の子、小学校もいってないって…」
 「このあたりじゃ、そんなもんだろうな」
 「でも希望工程とかあるじゃない?」
 「そんなの名前だけさ」
とタシさん、いささか憤慨気味。外からではなかなかわからない事情があるようです。

 「経済発展もけっこうだけど、まず国民資質を高めないと、そのためにはやっぱり
教育の普及かな…」
 「うん、そのとおりだな、最近は殺人事件がやたら多いんだ、金が欲しけりゃすぐ
殺っちまう、まったくなんて世の中だ!」

新聞やニュースの紙面を賑わす"改革開放"、"経済成長"の成果とは裏腹に、
この国が抱えている問題はかなり複雑なようです。

奔子欄から約二時間半、正面に満々と水をたたえた湖が見えてきました。
昨日発つとき鉛色をしていた納[巾白]海(ナーパーハイ)の水は真っ青な空を映し出し、
その向こうに空港の滑走路が白っぽく浮かんでいます。

ここで趙さんの車と別れて交通飯店に直行。まる二日間悪路を運転し続けてくれた
タシさんに心ばかりのお礼をすると、「明日の朝、二人を空港まで送るよ」と笑顔で
言ってくれました。上海の陳さんとは昆明まで同じ飛行機なのです。
明朝は8時すぎの便、7時前にはここを出ないといけません。二日間の強行軍でかなり
疲れているはずなのに、そうまで言ってくれるタシさんの好意に頭が下がります

部屋に落ちつくとすでに頼んでおいたスーツケースが置いてありました。
交通飯店は二ツ星のホテル、フロントの表示では標準間(スタンダードツイン)190元に
なっていました。迪慶賓館で宿泊した部屋とほぼ同クラスの設備でなかなか快適です。

隣にある農貿市場で朝食用に買ったバナナを片手に(というのも袋には入れてくれない
ので)近くの軽食店に入り、米線(4元)を夕食にすると、その日は荷物を整理して、
ゆっくりお風呂につかり早めに寝んだのでした。
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