黄金の少年、エメラルドの少女

映画化された『千年の祈り』の原作者である中国系作家イーユンリー(李翊云)の短編集「黄金の少年、エメラルドの少女」を読みました。代理母をテーマにした「獄」など9編。表題作の「金童玉女」(Gold Boy,Emerald Girl)は原文と裏腹に?一見すると妥協したような結婚を決意する男女の話。いずれの作品にも、自由な価値観と心を縛る古くからの因習や内なる自律といったものとの葛藤が根底にあるように感じました。孤独を抱えて生きる登場人物の描写も味わい深く、心に残る作品群です。
この欄で紹介する本の中には率直にいって義理で紹介するものもあるのですが、この本は心からおすすめです。