自貢編その2

次に、恐竜博物館に向かうべく、大山鋪方向に3路のバスに乗る。
ただし、バスを降りてから1kmほど歩く。途中のバス道はがたがた揺れて田舎
を実感でき、古い町並みは見ていて飽きない。自貢のように、昔から産業で栄
えていてしかも最近の開発から取り残されたような町は、貧しくもなく奢った
感じもなく、総じて「いい感じ」なのだ。それも、私たちが自貢を懐かしい町
だと感じた理由のひとつかもしれない。
製塩工場らしいコンクリート打ちっぱなしの工場や、それにまつわる施設が
自貢らしさを感じさせる。
塩を詰めた袋を満載したトラックとすれ違うこともしばしば…。

この通り沿いに「しん海井」と呼ばれる、世界でいちばん最初に1000mを
越す深さに達した井戸(もちろん塩を取るための)があると物の本に書いてあ
る。バスの車窓から注意して見ていると、なるほどそれらしき櫓を背負った
古い建物が見えてきた。恐竜博物館の帰りに見学することにした。

自貢観光の目玉、恐竜博物館は現在周辺地域を含めた一大恐竜テーマパークへ
と変身しようとしている。が、2002年秋の時点では従来どおりの博物館のみが
見学可能で、数年後にはさらに整備が進んでいそうだ。中国では時に高い入場
料を払って工事現場さながらの観光地を見せられる事があるので冷やりとした
が、博物館は無事だった。
入り口を入って左側にある実物大の恐竜の骨格標本展示室(?)は、すべて
この地域で発掘された恐竜の標本だそうだ。その種類の多さ・巨大さに驚かさ
れる。内蒙古アメリカ合衆国・カナダなどで恐竜の博物館を見たことがある
が、その地で発掘された恐竜の種類がこんなに多いのは他に類を見ない。
自貢の地面はまさに恐竜の宝庫である。恐竜時代(ジュラ紀)の植物・昆虫の
化石標本、恐竜の動く模型などの展示もある。
 しかし圧巻なのは、この博物館の建っている場所そのものである。
恐竜の発掘現場のまさに上にこの博物館は建っているのだ。
博物館の半分以上の面積が発掘現場なのである。周りに廻らされた通路の上か
ら観察するのだが、硬い岩盤のそこここに恐竜の化石が残っている。
自貢は恐竜の生息に非常に適した土地だったということだが、山ちゃんは塩
との関連もあるのではと、塩を舐めに来ている恐竜の図を勝手に想像してい
る(恐竜が井戸を掘っていたとも思えないが…オヤジ言)。

中国でいろいろな博物館を見たが、かなり満足度の高い博物館だった。
近年高騰(?)する中国の観光地の門票だが、ここの40元は決して高くない。
固い岩盤と化した自貢の地面を石ノミで丹念に掘り返せば恐竜の化石がゴロ
ゴロとでてくる(ちょっと言いすぎ?)ことを実感できる博物館だ。
少し残念なのは、展示されている標本のほとんどがレプリカであると思われ
るところ…。発掘現場の素晴らしさに少し水をさすかもしれない。                           
                           (自貢編つづく)

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