番外編 オヤジ魯国を行く

曲阜市には前回までに紹介した場所のほか、
尼山夫子洞・孟母林・少昊陵・洙泗書院・梁公林などがある。
また、周公廟周辺をはじめ、市内のあちこちに魯国故城遺址が残るが、
地上に顕著な形で現れている場所はない。
曲阜市の南部にある孟母林・尼山夫子洞及び孔子廟は、南接する鄒城市の名所と
抱き合わせて観光するのが便利である。

(鄒城の主周公廟)
 顔廟の少し北、延恩門を東に15分ほど歩くと、周公廟がある。
周の文王の子「旦」をまつった廟である。ここも木々の美しい廟である。
観光客もほとんどおらず、顔廟よりもいっそうひっそりとしていて、ゆっくり
くつろぐことができる。この廟は漢代の宮殿の跡地に建てられているらしい。
そのことを示す碑が廟の前庭に立っているが、目に見える遺址が残っているわけでは
ない。

この廟で特筆すべきことは、そのレイ星門の美しさである。
すっきり開けた前庭と木造朱塗りの門、後ろに控える林のバランスが素晴らしい。
レイ星門の4本の柱の頂部に四天王の像が置かれている。
赤い柱に瑠璃製の四天王像が映える。
門前には、いつ行っても地元の年寄りが数人日向ぼっこをしている。
曲阜でいちばん好きな場所のひとつだ。
孔廟のレイ星門の柱の上にも四天王像が置かれているのだが、石造りで
柱に対して小さいのであまり目立たない。
余談だが、「瑠璃」とは珪酸化合物のうわぐすりを塗って焼いた陶器で、普通、
緑や黄色のものが多い。
宮殿・寺廟の屋根瓦・装飾に使われているので、ご存知の方も多いだろう。
北京の「瑠璃厰」の地名は、元代に帝室御用達の瑠璃瓦の窯場が置かれていたことに
由来する。今は窯場はなく、書画骨董などを売る古文化街である。
話のついでに、七宝焼きは「景泰藍」という。エナメル加工のホーローは「琺瑯」、
実用品としては最近見なくなったが工芸品としての人気は高い(かな?)。
普通のガラスは、「玻璃」と呼ばれる。

鄒城の主な観光地は孟子にまつわるもので、
曲阜の孔子と同様に、孟廟・孟府・孟林の「三孟」である。
曲阜でタクシーをチャーターすれば、三孟と孟母林・尼山夫子洞を
1日で楽にまわることができるだろう。

タクシーを利用しない場合は、尼山夫子洞とそれ以外を2日に分けることになる。
私はあいかわらずのスタイルで、タクシーは利用せず2日を費やすほうを選んだ。
                                (つづく)
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