華人編

留学していたころ、クラスメートに華僑の子が5人いた。
私のクラスメートは偶然だが、全員がインドネシア華僑だった。
東南アジアの華僑は、大陸への留学が多いようで、
インドネシア華僑が最多で、ベトナム、マレーシア、タイと
当時、かなりの数の華僑留学生がいた。

一時期インドネシアでは、中華系が迫害を受けて、子供の安全のために
海外に留学させるのが流行したというので、まだ、その余波なのかと
思っていたが、彼女たちが言うには、
当時は、とるものもとりあえず、手っ取り早く大陸に脱出させた親が
多かったようだが、その子供たちが帰国して、
中国語が話せるようになったのを見て、他の親たちが羨ましくなったようで、
インドネシア華僑の間では、中国留学が流行しているのだそうだ。
どこまで本当かわからないが、確かに、インドネシア華僑は韓国人、
日本人に次いで多かった。

今、世界中に点在している華僑の共通語は基本的には普通語という
ことになっている。
インドネシア華僑だったクラスメート、ナタリアは、
祖父母が福建省の出身だから、福建語は少し話せると、言っていたし、
別のジョージというインドネシア華僑も広東語は話せる、と言っていた。
一口で華僑と言っても、出身地はそれぞれで、
もちろん言語も統一されていないので、海外で生活する華僑同士も
共通語としては、やはり普通語が一般的になっているようである。

だから、普通語が話せれば、世界中の華僑とコミュニケーションが取れる
はずなのだが、私の日本華僑の友人は、語学留学した彼女以外は、
家族は誰一人、中国語が話せないと言っていた。

前出のアメリカ華僑メアリーの中国語も、かなりタドタドシイものであったし、
インドネシア華僑、ベトナム華僑の友人も、元々話せないから
わざわざ留学に来ているのだ。

中国留学前は、中国語が話せたら、世界中の華僑とコミュニケーションが
取れるわぁ、なんて思っていたが、どうやら、そう簡単なものではないらしい。
海外で生まれ育った二世、三世の”母国語離れ”もかなり深刻のようである。

中国に来て中国語を学び、今、中国語を用いて仕事をしているが、
この3年間、「やっぱり世界語は英語!」だと、つくづくと思い知らされた。
英語をキレイに忘れてしまったことを、いくら悔やんでもしょうがないが、
英語プラス中国語、もしくは中国語プラス英語、というのが望ましいのだろう。
もちろん、どっちもビジネスレベルがベストだが、それは欲張り過ぎなので、
母国語がしっかりしているという前提で、どちらかがビジネスレベルであれば、
かなり可能性が広がるように思う。

留学生時代の友人が帰国後、就職活動の際に貿易会社の社長面接で
いきなり中国人を連れて来られて中国語の会話能力をテスト
された挙句に、「うちは中国語より、やっぱり英語が必要・・・」と、
オーストラリアだかの留学経験者と英語で会話させられた、と言っていた。
彼女は「英語はできません」と言ったにも、かかわらず、である。
その話を聞いて、何するねんっっと憤慨?したが、
(私だったら、いやー、英語はカンベンしてください・・・と
席を立ったに違いない)
こういった話も、時々耳にする。
中国に留学して中国語が少し話せるようになりました、といった程度で、
他に売りがなければ、このご時世やはり大変のようだ。
留学生時代の友人の中で、帰国後、英会話学校に通っている人も
かなりいる。

語学は強い・・・と言われる事も多いが、語学だけでは武器として
不十分な時代であるように思う。          
                         (華人編おわり)
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