中央大街その2

それにしてもまだ午前9時10時だというのに、あれよあれよという間
に中央大街のわき道のいたるところで、爆竹が鳴り始めた。耳をつんざ
く迫力で、音の振動は、耳というより直接肌に伝わってくる。癖になり
そうな心地よさだ。

爆竹なんて見た目きれいでもないし、煙いし、事故だって起こるし、中
国人は一体なぜそんなものを頑なに好むのだろうと思っていた。
しかし、理由はどうであれ、単純に楽しい。肌で感じる楽しさなのだ。
この迫力がないと、春節を迎えた気がしないんだろうな…と、爆竹を禁
止されている大都市の人たちが、ちょっと気の毒になった。

北京の人が、「北京は爆竹が禁止されているから、つまらないよ。中国
春節を体験したきゃ田舎に行くべきだ」といっていたが、我々も、い
つか初一(春節からの日数は初をつけて数えるので、初一はまさに旧正
月の元旦)をど田舎で過してみたくなった。ど田舎でなくとも…「ハル
ピンの初一は、爆竹の煙のせいで前が見えなくなるくらいだ」と、ハル
ピン出身の人が自慢(?)していたっけ…。

そういえば、帰りのハルピン駅で、列車に乗る人の手荷物検査の所に
「爆竹・花火は持ち込むな」と大きく書いてあった。ハルピンでは町じ
ゅうの屋台で売っている爆竹や花火を、禁止されている大都市の人にお
土産にもって行こうという輩は多いのだろうか…。

余談だが、爆竹は、祝い事のある時に魔除けのために竹をあぶって破裂
させ、大きな音を出したことに由来しているそうだ。なるほど、音は大
きいほどご利益がありそうで、景気よく街じゅうで鳴り響くわけだ。
と同時に、門に爆竹の格好をした飾りを飾っている都会の人々の気持ち
も、魔除けだと思えば納得できる。ちなみに、爆竹という言葉は今でも
中国で通じるが、一般には「鞭炮」と呼ばれる。

中央大街を歩きながらもうひとつ気付いた事は、レストランや商店の入
り口がやけに閉鎖的なこと。入り口が狭い、二重になっている、布団の
ようなカーテンがかけられている、等々。内側の様子がわかりづらく、
営業中かどうかすらわかりにくい。当然、室内に寒気を入れないためな
のだが、見慣れない我々には異様に感じられる。なんだか、入店を拒ま
れているようで、最初は戸惑った。だが、店内に一歩足を踏み入れると、
外の冷たさとは正反対の東北人の人なつこい暖かさを感じられる。東北
人は、話好きだし、みな親切で世話好きだ。

世話好きかどうかは別として、旅行中、こんな事があった。

中央大街にある有名な馬迭爾賓館(モダンホテル)に「冷飲部」と看板
の出ているファーストフードがある。地元でもかなり有名でいつも混み
合っているのだが、そこの店員の女性に突然「このマフラー、そこの西
十二道街で買ったでしょ?19元はお買い得よね!そうそう、このマー
ク!うちの娘のと同じ!」と、大声でまくし立てられた。

おまけに彼女は周りのおばさん達に、鯨のマークを指差して「班尼路
(BALENO/比較的手ごろな若者むけの洋服屋)」の宣伝をはじめる始末。
余りに唐突で面喰ってタジタジとなってしまった。
あとから「班尼路なんてどこにでもあるし、これは北京で買ったの!確
かに19元(約300円)だけど、安い安いを連発するな!」と心の中
で文句をいいつつも、なんだか、その場の雰囲気がどこか昔懐かしい感
じがして、いよいよハルピンがいい街に思えてきたのだ。

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