松花江周辺 その3
スターリン公園を南に歩くと鉄橋がある。牡丹江方面へ繋がる鉄路橋だ。
橋を管理している解放軍の若者の話では、鉄道が敷かれた時に作られた
ままの古い橋らしい。松花江大橋と呼んでいた。
この橋は当然、軍の管理区なのだが、住民の便宜のために線路の両側を
人が歩いて渡れるようにしてある。
地元の人が行き来する中、我々も凍った松花江を上から眺めてみようと、
橋を歩き始めた。川筋を吹く風は、街で感じる寒さとは比べ物にならない
ほど冷たい。地元の人達は、顔を隠して一気に黙々と渡るのだが、観光客
の我々は記念に写真でも…と思い、立ち止まって手袋をはずし、カメラを
構えてみた。とたんに手足の感覚はなくなるし、目の周りは紫になって
チアノーゼをおこしているし…生命の危機を感じるくらい寒かった。
とてもではないが、写真など撮れる状態ではない。
もっとも、後で聞いたら、軍管理区につき橋の写真撮影は禁止、また橋の
上で立ち止まってもいけないらしい。
あまりの寒さにすぐに橋のたもとに逃げ戻ってきたが、眉毛にもまつげに
も霧氷（！）ができていた。身を以って霧氷のできる現象を体験できたの
はよかったが、安易に橋を渡ろうというのは少々無謀だったようだ。
なんといっても、橋長１Kmはゆうにありそうだからだ。すぐに暖房の効い
たレストランに直行し、たらふく暖かい物を食べてようやく体温が戻って
来るまで生きた心地がしなかった。また余談だが、いちばんいい防寒対策
は、とにかく暖かい物を食べる事だ。
