高考

三門峡市滞在中、夜テレビを見ていると、ニュースで明日から始まる
「高考」の期間中は、市内のバスは、受験票を見せれば無料で乗れます、
ということを言っていた。
我々にはあまり縁がないが「高考」といえば、国を挙げての一大行事で
ある。
いや、縁がない訳でもなかった。我々の乗ったタクシー、時には路線バ
スまでが「高考」のための通行止めで迂回をよぎなくされた。
 「高考」は「全国高等院校招生統一考試」の略で、中国の大学入学試
験のことだ。試験会場となっている高校(高中)の周りは、自動車全面
通行禁止のところすらある。英語の聴力テストへの影響を懸念してのこ
とである。もっとも、聴力テストに限らず、受験生がより良い環境で受
験できるようにという配慮からでもある。

 貧困地区の農民の間では、高学歴=高収入という考えが強く、父母は
どんなに苦労をしてでも、息子を高校(高中)のみならず、大学まで進
学させたがっている。都市生活者が裕福で、農民が貧しいのは、農民は
学歴が低く良い仕事に就けない、という訳である。
特にその傾向が、農業大省の河南省(省当たりの人口は中国1位)で強い
という。試験会場内の受験生に携帯電話を使って答えを教えるという組
織的なカンニング大作戦(当然、受験戦争に付け込んだあくどい金儲け
だ)が発覚したのも、ここ河南省である。
 日本と違って、中国では、農村出身か城市(都市)出身かということ
が、大きな問題となる。この戸籍上の区別が貧富の差を引き起こしたり
もする。そんな中、今年はじめて「高考」の全ての出願者の中に占める
農村出身者の割合が50パーセントを越したそうだ。
辛く苦しい農村生活から抜け出し都市生活者になりたい一心で、カンニ
ングをさせてでも、裏金を使ってでも、子女を大学に入れようとする傾
向はほめられないが、以前に比べ農民の子女にも出世の道が開けてきた
ことは事実である。
もっともこの調査結果は、出願者中の割合に関するものであって、大学
合格者中に占める農村出身者の数には言及していないのだが・・・。

                           (つづく)
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