帰国後奮闘編

通訳の仕事をするようになり、結構、仕事の範囲が広がってきて、
自分で運転して行くとしたら、半径60キロ?80キロくらいまでは、
とりあえず許容範囲である。
ただ、遠方の場合は、正直なところ報酬と内容次第で、
例えば1時間の仕事のために往復3時間かけて行くのも、どうかな?とか
思うので、やはり採算を考えて受けるかどうか決めたりする。
ただ、1時間のためだけであっても、以降につなげられそうな仕事なら
採算度外視で受けたりもするが。

そうそう、通訳といえば、
仕事が入った場合は、台風だろうが、猛吹雪だろうが、
とりあえず、約束の時間までに指定された場所まで出かけていかなければ
ならない。
先方が悪天候を理由にキャンセルしてくれれば良いが、
連絡が無い場合は、通
訳が行かないと、先方の仕事に穴をあけることになってしまうため、
何があっても出かけていく。

平時は良いのだが、私の地元は、冬場は豪雪というほどではないが、
結構、雪が降るので、降雪時にはトラブルもかなり多い。
大雪の場合は、高速が不通になったり、電車が止まったりする。
電車も高速も使えないとなると、自分で運転して、
下道をチンタラチンタラと運転していかなくてはならないのだが、
盆地に住んでいるので、大雪の際などは、命がけで峠を越えたりする。
高速が不通になると、ただでさえ降雪で渋滞しがちなところに、
高速から下ろされた車が加わり、大渋滞になったりするのだ。
しかし峠を一つ越えると、全く降っていなかったりすることもあり、
あの大雪は一体なんだったんだ???と思うこともかなりある。
大雪の峠を越えるのは、
ある意味、本当に命がけ(の気分)だったりもするので、
「なんでこんな思いをしてまで行かなきゃいけないんだろう・・・」と
途中で引き返したくなることも多々ある。
が、そんな思いまでして、ホウホウの体で辿り着いたところが、
「あれー、センベンさん、こんな雪の中、よく来たね?」
とか明るく言われると、
「来なくても良かったんですか?」(顔は笑顔でも)
だったら連絡しろやいっっ(←心の声)と、本気でムっときたりする。

でも、例えば研修生通訳などでは、通訳が行かないと、
その研修生は一日、仕事にならなかったりするので、
いかなる場合も自分の都合では休めないのだ。
彼らは日本の短期ビザを取得してくるが、
日本にいる時間は貴重なものだし、
研修や実習が1日遅れても、ビザは簡単に延長できない。
だから高熱だろうが、大雪だろうが、とにかく行くしかないのだ。
通訳の仕事が入っている際には、特に天候や体調に気を使う。
体調が悪いからといっても休めないし、雪や雨で高速不通などだと、
その分を逆算して、いつもより数時間早く家を出なければならないのだ。
ツルツルの峠を、若葉マークのころのようにハンドルを両手でにぎりしめて、
うわ???っっ、こわっっとか、緊張しながら運転して行くので、
客先に着くころには、もうすでに一日分の気力・体力を使い果たしているので、
正直、「ぐったり」集中力ゼロ状態なので、とても仕事になどならないが、
とりあえず時間通りに先方にたどり着くことに意義がある、と思っている。

別の通訳エピソードを一つ紹介しよう。
ある時、某自治体で、中国からの視察団のレセプション通訳を
募集しているとの情報が入った。
詳細を聞こうと思って、さっそく電話をしてみると、担当者が非常に
言いづらそ?に、
「申し訳ないのですが、お礼を出せないんです・・・」と言う。
この時点では、まぁボランティアでもしょうがないか、と思ったら、
さらに
「レセプションは会費制でして、会費3000円を
ご自分で支払って参加していただくことになります」と言われ、
これはさすがに丁重にお断りした。
私も暇をもてあましている身ではないし、百歩ゆずって、
ボランティアで報酬無しは良しとしても、お金を払ってまで参加した
いとは、さすがに思えない。
役所関係に名前と顔を売る機会かも?・・・と思って問い合わせしたが、
レセプションやら会食の通訳など、
ロクに食事もできない(させてもらえない)ケースも多々あるのだ。
そこを、自腹を切ってまで、ボランティアで通訳したい人が
最終的に見つかったのかどうか、ちょっと、気になるところである。

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