本牧の映画館で海を飛ぶ夢を観ました。


(あらすじ
海の事故で、首から下が不随となったラモン・サンペドロは、26年間をベッドの上で過ごし、その年、自ら命を絶つ決断をする。人権支援団体で働くジェネは、ラモンの死を合法にするため、弁護士のフリアの協力を仰ぐ。法廷へ出る準備を進め、ラモンの話を聞くうちに、フリアは強く彼に惹かれていった。ある日フリアは、ラモンの家で発作に倒れる。不治の病に冒されたフリアは、やがて自らも死を望み、ラモンの死を手伝う約束をする)

スペイン男性の実話に基づく、尊厳死をめぐり生と死を考えさせられる話です。この男性は映画では家族や友人にも恵まれていて、生きることを義務と考える人たちにはなぜ死にたいか理解不能かもしれません。でも彼は生きることは権利にすぎないと、尊厳死という結末をを実行に移します。

私自身は死にたいと思ったことは一度もありませんし、俗物主義にどっぷりつかっているいま、死について考えることは正直なところほとんどありません。ただ、みっともない死に方はできない、という意識を持ち続けた一時期はありました。20年近く前、最初に会社(新聞社)に就職したころで、会社が襲撃されて死者が出た年に入社したため、襲撃者が来たときはせめて無様な死に方をしないように、何パターンか対処シミュレーションを頭の中でしていました。そんなメモが死後見つかっても恥ずかしいので、あくまで私の頭の中だけ、で誰にも話しませんでしたが・・いまなら、会社のために死にたくないので、たぶん生き残るための対処シミュレーションを文書化するところでしょうが、当時はそれなりに純粋だったのだと思います。

イラク武装ゲリラに襲われた日本人男性の死亡という報道に接しました。(死亡したとされる)斎藤さんは、その経歴からいっても、おそらく私のように一時期ではなく、(そんなことばかり考えているわけではないにしても) 無様な死に方をしないようにしたい、と考えていたに違いないと思ったのです。だとしたら、この死に方はある程度「想定の範囲内」だったかもしれない・・不謹慎かもしれませんが、そんなことを思いました。私自身は米軍の下請けのような仕事を日本人がするべきでないと思っているのですがその反面、彼の自分の選択に基づいての行動には(他にイラクで拘束されたり殺害された邦人と同様に)十分な敬意を払うべきだとも思っています。