北京で中医学を勉強する 1

私は、昨年の三月に京都にある鍼灸大学を卒業した鍼灸師です。卒業後すぐ北京に留学して1年たちました。現在、中国中医研究院の高級班(研究生)で勉強しています。
中国に来た理由は、簡単に言えば中医学を学ぶためですが、日本では見る事のできない方法を使って治療している現場に触れたかったからです。だからと言って、大学時代、私は、中医学派、経絡派、現代派と分けた場合、中医学派に属していたわけではありません。この三つの中で分けるのであれば、現代派に属し、卒業論文も、整形外科疾患について書きました。
大学入学前、「はり治療とは、すぐに効果がでる」というイメージが強く、肩こり、腰痛、膝痛など整形外科的疾患、それ以外には、針麻酔といったようなものが鍼灸治療の中心と考えていました。しかし大学に入学してから東洋医学の授業を受けるたび、陰と陽のバランスが崩れたときに病気になると言う見方に触れました。簡単に言えば、鍼灸治療で陰陽のバランスを整えることができれば、すべての病気を治せると言えますが、実際には鍼灸には限界があり、また陰と陽のバランスを鍼灸治療によって整えることができたとしても、かなりの時間がかかります。
また、東洋医学は、西洋医学と違い、解明されていない点が多く、自分自身納得できない事がよくあったので現代派を選んでやっていたのです。
大学3年から臨床鍼灸学の授業が始まり、3年の後期には鍼灸センターに自分たちが実習に出て、先生が患者さんを治療しているところをみることになりました。やはり、肩こり、腰痛、膝痛が圧倒的に多いのですが、これ以外にも、内科的疾患、耳鳴りなどの患者もいます。四年時には、自分たちが患者さんをみることになりました。この時も自分自身は、いつも現代派のやり方で治療していました。だから治療する時は患者さんの脈を触ることは、ほとんどしたことがないのです。
時間が過ぎるに連れて、私は卒業後の将来のことを考えるようになってきました。自分の所に患者さんが治療しに来た時の事を。自分がしているいくつかの治療パターンで治す事ができなかったときに、更に違う方法がないか。そして患者さんにとって一番良い治療方法は何か。内科的疾患を治療する時は?
この時、私は、初めて中医学というものを勉強してみたいと思ったのです。大学四年の六月か、七月頃だとおもいます。ちょうどこの時期に大学の掲示板を見ていたら、ある団体の夏季中医学ゼミナールのお知らせを目にしました。このお知らせの中には中医師の先生もいると書いてあったので、自分はチャンスがあれば、中国の話も聞いて見たいと思い参加する事に決めたのです。(続く)


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