ある学者さんの消息を聞いて

ある日本人学者が中国入国を拒否されたというニュースを見ました。1999年4月、中国の「実話実説」という番組に人民大学に研究留学中のその女史が出ているのを北京で偶然見たことがあります。「戦争の記憶」がテーマで日本の元軍人が戦争中の行為を懺悔、元軍人自らが日本国内で当時の軍関係者から起こされている名誉毀損裁判の不当性を訴え、さらに南京事件の中国人被害者たちがその体験を語るというという番組でした。通常の日本人には過酷な状況の中で、出演していた女史が学者的観点から冷静にその元軍人に異議を唱えて(当然のごとく南京事件の被害者などから袋叩きに遭うのですが)いたのがとても印象に残っています。その番組は中国国内でも大変な反響があったそうです。私自身はもとより学者になりえない一市民、高齢であるその元軍人の訴える大義を尊重すべきだと思うのですが、その元軍人(2006年死去)の「自分は1人で日本社会や右翼と戦っている」というような一連の発言に一般の日本人は同調しないのではないかと気になりました。くだんの学者さんも原点は現在のようなスタンスではなかったはずですが、中国とかかわりを深めていく中でいくつかの違和感が生じるようになったのではと、勝手に類推しています。

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