9月12日(木) 新旧が交錯するまち―香格里拉


まだまだ街へ戻るには早い時間なので、もう一度古城へ戻り、そこからこのまち
いちばんの高いところにある"北鶏寺"を目指すことにしました。午前中に上った
"大亀山"からも望める小山の頂上にあるチベット仏教のお寺です。
ミネラルウォーターのペットボトルを手にとぼとぼと歩いていると、土地の人たち
が親切にお寺まで行く道を教えてくれます。家々の間を縫ってようやくなだらかな
丘の斜面に出ると道らしい道もなくひたすら上を目指して上るばかり。
勾配はゆるやかでもしんどさは"大亀山"どころではありません。植林地帯に迷い
込みながらも上方に見える木造の楼閣目指してなんとか登りきると、お寺までは
もう一息です。

白いタルチョがはためく"北鶏寺"はほんとに小さな破寺で、その名の通り、お寺の
内も外もニワトリだらけ、いったい何羽飼っているのでしょうか?オンドリの門番
に開門を願うと、今度はあの獰猛な真っ黒い犬2頭に両側から襲い掛からんばかり
に吠えつかれ、こうしてようやく堂内に入ることができるというわけです。
このお寺もまた松賛林寺から派遣された二人のお坊さんに守られています。

山の上だけあってここからの眺めは抜群!お寺の周りを一周する巡礼路をぐるりと
時計回りに回ると、まず香格里拉空港の滑走路が眼下に広がり、その右手には大き
な水溜りのような納[巾白]海(ナーパーハイ)が白く光っています。
お寺を囲む林を抜けて北側を望めば、一本の道を挟んで建物がぎっしり建て込む
白っぽい新市街のかなた山懐に松賛林寺がかすみ、さらにすぐ手前の足元には
黒っぽくうねる古城の家々の屋根…。

山を下りる時、先生に引率されてゴミ拾いする中学生たちを見かけました。
そういえば上ってくる途中、"美しい香格里拉をみんなで守ろう"といった内容の
標語が大書きされた看板を見かけましたが、なるほど環境美化はやはり努力あって
こそのことなんですね。
(2003年のメルマガに掲載)