9月13日(金)〜14日(土) 梅里雪山の懐へ―徳欽一泊小旅行

食堂はタシさん行きつけのところ、みな顔なじみです。
このあたりの名菜といえば金沙江で捕れる"ジャオユィ"という川魚をハムや豆腐、
ネギなどといっしょに白湯(パイタン)スープで煮込んだもの。店には生簀があり、
臭みのない新鮮な白身の肉は蛋白でとても美味しいのですが、実はマツタケなみに
高価な食材で、20センチ足らずのものが一尾で50元以上もします。
洗面器のような金属製の器に二尾入ったスープ(一応四人前)とご飯で140元!
この場は旅仲間の上海の方にご馳走になってしまいました。

四十代前半くらいのこの人―陳さんは上海国際旅行社の市場開発責任者。
表向きは徳欽方面の観光ルート視察ということで、はじめのうちはタシさんと
険悪な雰囲気でしたが、ほんとうは山が見られれば他に何も要らないというくらい
大の"山好き"…ということで二人ともすっかり意気投合。
今回も仕事とはいえ雲南省の最高峰梅里雪山を見るのをなにより楽しみにしている
様子です。

陳さんを乗せて運転する趙さんはタシさんとは逆にやや痩せ型の寡黙な人。
二人の車には"香格里拉旅遊汽車隊"と印字されていますが、車は彼らの所有で
ガソリン代や修理費はすべて自前、それでも平均月収は2,000元になるので、
このあたりではけっこういい暮らしぶりのようです。

奔子欄ではたっぷり一時間の昼食休憩をとりました。
デザートにタシさん持参の梨を頂戴しながら、残り半分の行程に臨みます。
いったん河岸まで下りた道は奔子欄を過ぎると徐々に上り坂となり、
やがて眼下に大きくカーブを描く"金沙江大彎"、さきほど通ってきた道路が
河に沿って白く見えます。ここで金沙江とはお別れです。

きれいに舗装されている道をしばらく走ると、
前方右手に五色の旗が張り巡らされた場所が見えてきました。
タシさん、車を停めて曰く、
 「ここは"天葬台"さ」
 「あの百八つに分割しちゃう…?」
 「ハハ、よく知ってるじゃないか」
 「でもこんな国道の脇にあるなんて…、もう使われてないんでしょ?」
 「いや、いまでもちゃんと使われているよ、ただ誰にもわからないよう
こっそりやるんだ」

"天葬(鳥葬)"というのは樹木が希少なチベット地域ではもっとも理に適った方法、
その場所は神聖な儀式の場としてお寺の裏山など普段はめったに人の近づかない
ところに設けられるのが普通です。
それなのにこんな幹線道路沿いに"天葬台"があるなんてちょっと驚きです。

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