11月16日、17日《春の河,東に流る》《武訓伝》《真珠の首飾り》《今ひとたびの》など10作品DVD上映のお知らせ(現代中国映画上映会)

次回の上映会は11月16日(土)、17日(日)の2日にわたり、新中国誕生前
後に作られた3作品とサイレント時代の古典作7作の合わせて10作品を上映しま
す。
上映作品は《春の河,東に流る》《三毛の放浪記》《武訓伝》《野ばら》《息子は
英雄》《今ひとたびの》《八百屋の恋》《二人のスター》《真珠の首飾り》《悲し
き若妻》の10作です。このうちサイレント3作にはプロ演奏家として御活躍中の
柳下美恵様によるライブ演奏が付きます。

上映会場は文京シビックセンター3Fにあるシビックホール会議室です。
皆様のご来場をお待ち申し上げております。

現代中国映画上映会 gentyuei@parkcity.ne.jp
http://www1.parkcity.ne.jp/gentyuei/

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★★★第496回現代中国映画上映会(DVD上映会)★★★
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●上映作品:劇映画《春の河,東に流る》
       1947年/崑崙影業公司/ 白黒/スタンダード/DVD/190分
       標準中国語/日本語字幕つき
       原題◎一江春水向東流(上集:八年離乱、下集:天亮前后)
       監督・脚本◎蔡楚生(ツァイ・チューシェン)
             鄭君里(ヂェン・ヂュィンリー)
       撮影◎朱今明(ヂュー・ヂンミン)
       美術◎牛葆榮(ニゥ・バオロン)
       音楽◎章正凡(ヂャン・ヂェンファン)
       録音◎袁慶餘(ユェン・チンユィ)
       主演◎白楊(バイ・ヤン)、陶金(タオ・ヂン)、呉茵(ウー・イン)
          舒綉文(シュー・シゥウェン)、高正(ガオ・ヂェン)
          周伯稃(ヂョウ・ボーシュィン)、秦小龍(チン・シァオロン)
          上官云珠(シャングァン・ユンヂュー)、鄭敏(ヂェン・ミン)
          厳工上(イェン・ゴンシャン)、夏天(シァ・ティェン)
          李次玉(リー・ツーユィ)
      劇映画《三毛の放浪記》
       1950年/崑崙影業公司/白黒/スタンダード/DVD/80分
       標準中国語/日本語字幕つき
       原題◎三毛流浪記
       原作◎張楽平『三毛流浪記』
       監督◎趙明(ヂャオ・ミン)、嚴恭(イェン・ゴン)
       脚本◎陽翰笙(ヤン・ハンシェン)
       総撮影◎朱今明(ヂュー・ヂンミン)、韓仲良(ハン・ヂョンリャン)
       撮影◎裘葛(チゥ・グー)
       音楽◎王云階(ワン・ユィンヂエ)
       主演◎王龍基(ワン・ロンヂー)、関宏達(グァン・ホンダー)
          林榛(リン・ヂェン)、杜雷(ドゥ・レイ)
          黄晨(ホァン・チェン)、陶冶(タオ・イェ)
          程漠(チェン・モー)、馬飛(マー・フェイ)
          龔伯安(ゴン・ボーアン)
      劇映画《武訓伝》
       1950年/崑崙影業公司/白黒/スタンダード/DVD/210分
       中国語(山東方言)/日本語字幕つき
       原題◎武訓傳
       監督・脚本◎孫瑜(スン・ユィ)
       撮影◎韓仲良(ハン・ヂョンリャン)
       美術◎牛葆榮(ニウ・バオロン)、魏鉄錚(ウェイ・ティエヂェン)
       主演◎趙丹(ヂャオ・ダン)、黄宗英(ホァン・ゾンイン)
          孫棟光(スン・ドングァン)、鄭大畏(ヂェン・ダーウェイ)
          周伯稃(ヂョウ・ボーシュィン)、張翼(ヂャン・イー)
          蒋天流(ヂァン・ティェンリゥ)、王蓓(ワン・ベイ)
          張乾(ヂャン・チエン)、邱奐(チゥ・ホァン)
          呉茵(ウー・イン)、黄晨(ホァン・チェン)
          白荷(バイ・フー)、高正(ガオ・ヂェン)
          傅伯棠(フー・ボータン)、姜修(ヂァン・シゥ)
      劇映画《野ばら》
       1932年/聯華影業公司/白黒/スタンダード/DVD/80分
       アフレコサウンド版/日本語字幕つき
       原題◎野玫瑰
       監督・脚本◎孫瑜(スン・ユィ)
       撮影◎余省三(ユィ・シェンサン)
       主演◎王人美(ワン・レンメイ)、金焔(ヂン・イェン)
          叶娟娟(イェ・ヂュェンヂュェン)、韓蘭根(ハン・ランゲン)
          鄭君里(ヂェン・ヂュィンリー)、章志直(ヂャン・ヂーヂー)
          厳工上(イェン・ゴンシャン)、洪警鈴(ホン・ヂンリン)
          劉継群(リゥ・ヂーチュィン)
      劇映画《息子は英雄》
       1929年/上海長城画片公司/白黒/スタンダード/DVD/71分
       アフレコサウンド版/日本語字幕つき
       原題◎児子英雄
       別題◎怕老婆
       監督◎楊小仲(ヤン・シァオヂョン)
       脚本◎陳趾青(チェン・ヂーチン)
       撮影◎李文光(リー・ウェングァン)
       主演◎張哲紱(ヂャン・ヂェードゥ)、劉継群(リゥ・ヂーチュィン)
          許静珍(シュィ・ヂンヂェン)、高威廳(ガオ・ウェイティン)
          洪警鈴(ホン・ヂンリン)、賀志剛(フー・ヂーガン)
      劇映画《今ひとたびの》
       1928年/大中華百合影片公司/白黒/スタンダード/DVD/61分
       ライブ伴奏/日本語字幕つき
       原題◎情海重吻
       監督・脚本◎謝云卿(シェ・ユンチン)
       主演◎湯天綉(タン・ティェンシゥ)、陳一棠(チェン・イータン)
          朱旦旦(ヂュー・ダンダン)
      劇映画《八百屋の恋》
       1922年/明星影片公司/白黒/スタンダード/DVD/23分
       ライブ伴奏/日本語字幕つき
       原題◎労工之愛情
       別題◎擲果縁
       監督◎張石川(ヂャン・シーチュアン)
       脚本◎鄭正秋(ヂェン・デェンチゥ)
       撮影◎張偉涛(ヂャン・ウェイタオ)
       主演◎鄭鷓鴣(ヂェン・ヂェーグー)、余瑛(ユィ・イン)
          鄭正秋(ヂェン・デェンチゥ)
      劇映画《二人のスター》
       1931年/聯華影業公司/白黒/スタンダード/DVD/86分
       アフレコサウンド版/日本語字幕つき
       原題◎銀漢双星
       原作◎張恨水『銀漢双星』
       監督◎史東山(シー・ドンシャン)
       脚本◎朱石麟(ヂュー・シーリン)
       撮影◎周克(ヂョウ・クゥ)
       主演◎金焔(ヂン・イェン)、柴羅蘭(チャイ・ルォラン)
          高占非(ガオ・ヂャンフェイ)、王次龍(ワン・ツーロン)
      劇映画《真珠の首飾り》
       1925年/長城画片公司/白黒/スタンダード/DVD/100分
       ライブ伴奏/日本語字幕つき
       原題◎一串珍珠
       原作◎モーパッサン『首飾り』
       監督◎李澤源(リー・ズァユェン)
       脚本◎侯曜(ホウ・ヤオ)
       撮影◎程沛霖(チェン・ペイリン)
       主演◎雷夏電(レイ・シアディェン)、劉継群(リゥ・ヂーチュィン)
          劉漢鈞(リゥ・ハンヂュィン)
      劇映画《悲しき若妻》
       1929年/華劇影片公司/白黒/スタンダード/DVD/75分
       サイレント/日本語字幕つき
       原題◎雪中孤雛
       監督◎張惠民(ヂャン・フイミン)
       脚本◎周鵑紅(ヂョウ・ヂュェンホン)
       主演◎呉素馨(ウー・スーシン)、張惠民(ヂャン・フイミン)
          呉素素(ウー・スースー)、韓蘭根(ハン・ランゲン)
          盛小天(シェン・シァオティェン)
●上映日時:11月16日(土)
        午前10:40 《春の河,東に流る》
        午後2:40  《三毛の放浪記》
        午後4:40  《武訓伝》
      11月17日(日)
        午前10:00 《野ばら》
        午前11:40 《息子は英雄》
        午後1:10  《今ひとたびの》《八百屋の恋》
        午後3:10  《二人のスター》
        午後5:00  《真珠の首飾り》
        午後7:00  《悲しき若妻》
      ※開場は各回開始の10分前
      ※各回入れ替え制です
      ※《今ひとたびの》と《八百屋の恋》は入替せず連続上映します。
      ※《春の河,東に流る》と《武訓伝》は途中で短い休憩が入ります。
●上映会場:シビックホール会議室
        (文京区役所がある文京シビックセンター3F)
       東京メトロ丸ノ内線南北線 後楽園駅 直結
       都営地下鉄三田線大江戸線 春日駅 直結
       地図: http://www1.parkcity.ne.jp/gentyuei/civic.htm
●会 場 費:1200円(《春の河,東に流る》《武訓伝》)
      700円(上記以外の作品)
      ※非会員・期限切れの方は同時入会が必要です。
●入 会 金:600円(一般会員、同時入会可、有効期間1年)
      8100円(フリーパス会員、当日同時入会可、有効期間1年)

※今回のDVD上映会では会場費割引券はお使いになれませんのでご了承下さい。


《春の河,東に流る》
 抗日戦争の中、恋に落ちた2人は結婚し、子供が生まれた。夫は戦地に赴き支援
をしていたが日本軍の捕虜となってしまった。しかし、スキを突いて逃げ出した夫
は戻った重慶で知人女性に拾われ、抗日英雄として迎えられた。知人女性の助けで
仕事に就いた夫は次第に堕落し、その知人女性と深い仲になってゆく。一方、上海
に残された妻は子供と姑を支えながら細々と生活していた。
 重慶で戦争勝利の報を聞いた夫は商売拡大のため上海に戻り、知人女性の従姉妹
とも深い仲になった。2人が住むお屋敷に女中として働きに来た妻は、そのお屋敷
の主が実は夫だと気がつくはずもなかった…。

 抗日戦争前後の一家の生活を前編《八年離乱》、後編《天亮前后》の合計3時間
以上にわたって描いた大河ドラマである。公開当時の上海で異例のロングランとな
り、その記録は30年以上破られることはなかった。


《三毛の放浪記》
 抗日戦争に勝利し、つかのまの隆盛を誇る上海。しかし、そんな華やかな街にも
多くの放浪児がいた。彼らは彼らなりに助け合い、けなげに生きていた。
 そんな放浪児の一人、三毛(サンマオ)はたまたま金持ちに気に入られ、その屋敷
に息子として迎え入れられた。お坊ちゃんとして優雅な生活を送ることになるが、
三毛にはそれが窮屈で仕方がない。スキを見て仲間をお屋敷に連れ込んで大騒ぎし
た。あまりの無残な状況に金持ちは三毛たちを追い出した。
 再び放浪生活を始める三毛だったが、生活は困難を極める。食べ物を手に入れる
こともできず、飢え死に寸前だった。
 そんな上海が解放を迎えた。いままで蔑まれてきた三毛たちも生きる権利を与え
られ、無視されることもなくなったのだ…。

 新中国誕生前から漫画家として活躍した張楽平の漫画『三毛流浪記』を映画化し
た作品。国民党支配下で撮影が開始されたが中止命令により完成は新中国誕生後に
ずれ込んだ。


《武訓伝》
清朝末期に実在した武訓という人物の伝記映画。
3時間半にもなる本作の完成を聞いた周恩来は上海からフィルムを取り寄せ、国務
院などで内部上映され国家指導者たちが鑑賞した。結果は概ね好評だったが、本作
を見た毛沢東は“ブルジョワ改良主義映画”だとして批判文を発表した。支配階級
との戦いを拒み、権力者や金持ちたちに媚びを売り、働くことをしないで哀れみを
乞い、大道芸などをして得た金で学校を建てた武訓を持ち上げるなどもってのほか
というわけである。これを機に激烈な“武訓伝批判”が巻き起こり、新聞などにこ
ぞって批判文が掲載されるようになった。監督の孫瑜や出演者たちは自己批判を迫
られることになり、《武訓伝》は新中国誕生後初の上映禁止映画となった。その批
判は文革後まで継続され、1985年になってようやく一応の再評価を得ることができ
たが、一般に再公開されることはなかった。大批判が巻き起こって以後、中国国内
で一般公開されたのは2005年の趙丹生誕90周年を記念した回顧上映の1回のみで、
今に至るも幻の映画となっている。
昨年、《武訓伝》のDVDが“研究用”名目で世に出ることになり、ようやく一般の
目にも触れることができるようになったものである。


《野ばら》
 画家の江波は江南のある漁村で活発で美しい娘・小鳳に出会い彼女をモデルに絵
を描いた。小鳳は村人から愛され“野ばら”と呼ばれていた。きれいな花にはトゲ
があるからだ。彼女の父親は借金が返せず亡くなってしまった。江波は、暮らして
いけなくなった小鳳を都会に連れて帰ったが父親からは許してもらえず、仕方なく
家を出て自ら厳しい環境で生活することになった。ある日、小鳳の身代わりに江波
は誤認逮捕されてしまった。逃げ出した小鳳は名前を変え、紡績工場で働くことに
なった。程なくして日本の侵略が始まり、釈放された江波は友人たちと救国義勇軍
に加盟し、前線に赴くのだった。

 中国農民の厳しい生活や日本の東北侵略を伏線として描かれた孫瑜の初期作であ
る。本作が縁で知り合った金焔と王人美は1934年に結婚することになる(1944年に
離婚)。


《息子は英雄》
 胡さんは妻に先立たれてしまった。1人息子を抱え後妻をもらったが、これが大
変な鬼嫁だった。息子は容赦なくいじめられ、胡さんも全く逆らえない。
 実は妻にはヤクザの愛人がいた。近所の金持ちの家でパーティーが開かれるとい
う情報を男に教え、男は侵入して金持ちから宝石を強奪した。しかし、逃げるとこ
ろを見つかってしまい人を刺して逃げた。逃げ込んだ先は隣の胡さんの家。胡さん
は犯人に間違えられ警察に捕まってしまった。
 そこで息子は一計を案じ、男から宝石を取り返して父の冤罪を晴らそうと動き出
したのだった…。


今ひとたびの》  ※柳下美恵さんによるライブ演奏付き
 仲のよかった夫婦だったが、妻が金持ちの若い男に浮気した。弁護士を立て離婚
を迫る妻。仕方なく離婚した夫だったが納得はしていなかった。
 元妻の父親が誕生日会をするというので呼び出された元夫。もう義父ではないと
言う元夫は意外なことを言われた。元妻の浮気相手を認めはしないからというのだ。
 先に帰った元妻の浮気相手は電報を受け取った。大学生としての本質を忘れ、怠
学が甚だしいのですぐ帰れという最終通告だった。慌てた男は貴重品など身の回り
のものをすべて持って逃げ帰ってしまった。
 新しい夫がいなくなってしまったことに気づいた妻は寝込んでしまった。自殺を
図ろうとする元妻を元夫は救いだし、すべてを許すのだった。


《八百屋の恋》  ※柳下美恵さんによるライブ演奏付き
 現存の中国映画として最古の作品。23分の短編で、ストーリーも単純ながら楽
しませてくれるコメディタッチの作品である。


《二人のスター》
 映画会社が郊外へロケに出た時、監督は歌が好きな李月英を見つけ主役に抜擢し
た。相手は楊倚雲。たちまち恋に落ちた2人の映画スターだったが倚雲は既婚者だ
ったため、やむなく別れることになった。数ヶ月後、映画の完成パーティーが開か
れ、そこで2人は再会したが…。

 1930年代を中心に活躍した張恨水の同名小説『銀漢双星』を映画化した作品。


真珠の首飾り》  ※柳下美恵さんによるライブ演奏付き
 見栄っ張りの妻がパーティーに出るというので首飾りを借りた夫だったが、泥棒
に盗まれてしまった。弁償するために会社の金に手をつけた夫は警察に捕まってし
まい、妻も派手な生活に別れを告げ、田舎に引っ越す羽目になった…。

 モーパッサンの短編小説『首飾り』を中国に翻案した作品。


《悲しき若妻》
 醜い金持ちに売られた若妻はその環境に耐えられずに逃げ出した。彼女を不憫に
思った男に救われ家事を手伝うようになるが、ふとした粗相により男の父親が彼女
を雪が舞う寒空の下にたたき出してしまった…。


※ライブ伴奏者紹介
柳下美恵(やなした・みえ)
無声映画伴奏者。武蔵野音楽大学器楽科(ピアノ専攻)卒業。1995年、朝日新聞社
主催の映画生誕100年記念上映会でデビュー以来、国内外の映画祭、上映会などで
公演。フィルムセンター(京橋)、あるぽらん(阿佐ヶ谷)での中国映画の伴奏も
多数。

※伴奏はキーボードを使用し、スクリーン横で即興演奏を行う予定です。
※やむを得ない事情により伴奏ができなくなった場合はサイレント作品《今ひとた
 びの》《八百屋の恋》《真珠の首飾り》は音声なしで上映します。
※上映作品のスチール写真などはHPをご覧下さい。
http://www1.parkcity.ne.jp/gentyuei/future.htm#20131116
http://homepage3.nifty.com/kamakurakoka/