青海省編

出発前、私が青海省と聞いて思い浮かぶのは青海湖ぐらいで、また、
その省都「西寧」についても特に何の印象も持っていなかった。
果たして北京から24時間も列車に揺られて行くに値する所なのだろうか、
と疑問にすら思っていた。
一方ダンナは、羊肉がおいしいと言う話を聞いただけでやる気満々、
出発前早々にガイドブックを読破してしまった。
 結果、ダンナの胃袋は大いに満たされたし、私にとっては列車で2日
かかろうが3日かかろうがまた行ってみたい場所となった。
2人とも大満足の今回の旅行先は、青海省西寧とその近郊、青海湖周辺
から都蘭までのこぢんまりしたルートである。

^^^^^^^^^^^^^^ まずは西寧へ ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

西寧へは、北京西駅から14:23発のT151列車を利用した。いつものよう
に硬臥の最上段である。

国鉄路の寝台車は、軟臥と硬臥の二種類があり、軟臥が一等寝台とい
う事になる。
硬臥(二等寝台)は上中下三段ベッドで開放的な作り、ベッドはやや狭
いが身長180cm以下、体重90kg以下の人ならさほど窮屈に感じないだろう。
下段から人気があり、下の方が料金も若干高い。乗り降りに便利という
のが人気の理由だが、日中は共用の座席となるので外国人(特に欧米人)
にはあまり人気がない。我々もその理由で寝台車を利用する時はいつも
硬臥最上段と決めている。
一方、軟臥は上下二段ベッド、4人一部屋のコンパートメント式、やや
閉鎖的なので同室の人に恵まれれば快適、恵まれなければ居心地悪い思
いをすることもある。軟臥の料金はごく大雑把に言うと硬臥の1.5倍、
飛行機の6〜7割程度である。
 
長距離列車の出発前の風景と言えば、以前は大荷物を持って押し合い
圧し合い列車の入り口に詰め寄る場面であったが、今では旅行繁忙期以
外は、そんな光景を見ることもなくなった。
それに取って代わった光景はというと、恋人達の別れのシーンだ。
ホームで抱き合うカップル、ガラス越しに見詰め合い携帯で話すカップ
ル、車内で出発ギリギリまで彼女の世話をする彼氏などなど、微笑まし
いのから、見ている方が恥ずかしくなるようなものまでさまざまな別れ
を目にする。

 北京から西寧までの所要時間は、24時間43分。それでもここ数年で4〜
5時間短縮されたそうだ。やはり中国は広い。
車内販売の弁当は、年々値上がりし値段に見合わなくなってきた。
食堂車も高い。多くの中国人は、列車に乗る前にどっさりと食料品を買
い込んでくる。車内販売より安いし、自分の好きなものを買える。
車内で時間を潰すには、食べるのが一番である。最近では、乗車前に食
堂で「打包(折り詰め)」してもらった弁当を持ち込む客も少なくない。
三食の食事と間食、乗り合わせた客と無駄話、ガイドブックをペラペラ
繰る、後は爆睡すれば24時間くらいはあっという間に経つ。

 ほぼ定刻(15:06)に、列車は西寧に到着。蘭州を過ぎた辺りから車窓
の風景はやや山がちになったものの、さほど高原に来た感じはしない。
が、プラットフォームに降り立つと、風が冷たくひんやりしている。
見た目よくある地方都市と変わらないが、西寧は標高2275メートルの高
原都市である。
それなりに空気も薄いせいで、荷物を持って歩き始めてみると、若干足
取りがふらふらし、早足で歩くと息が上がる。


(つづく)
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